水道設備の基礎知識


水道管の材質とメリット・デメリット

※水道管の材質によって修理の手間はずいぶん違ってきます。今後お住まいの水道管を取り替える場合の参考にしてください。

札幌市内の一般住宅で使用される水道管はおもに3種類です。

1つ目は鉄でできた水道管。

↑ 鉄製配管 接合はネジ込みでおこないます。現在は新規施工では使用されない配管になっています


どうしても鉄材のため、年数の経過とともにボロボロになり、管の外側もサビが目立ってくるようになることもありますし、最終的には穴があいて使えなくなってしまいます。
中でサビが酷く付着して、タイミングによっては蛇口から赤錆水や錆の固形物や粒が出てくることもあります。
配管施工はネジ込み接続ですので、一部のみを取り替える場合には前後の配管の繋がり方によってまったく対処が違ってきます。

※鉄製配管は、新たに水道管を取り替える場合には現在は使用されない材質になります。

お住まいでは、水の供給される配管(給水管)と、お湯が供給される配管(給湯管)が2経路で室内を通って各蛇口につながっています。
かなり古い建物ですと、水側もお湯側もともにこの鉄管が使用されていますし、35年前後前のお住まいですと、水は鉄管だけどお湯側は次に説明する銅管配管になっているパターンが多くなります。

↑ 銅管配管 本来は赤茶色の材質ですが、施工時に防錆シルバー塗装することもあります。接合部分は溶接でつないでいくため、部分的な修理も容易です

2つめは銅管。劣化しても鉄の配管のようにサビ水を出したりすることはありません。
ただ金属配管のため、いずれは腐食してしまいます。
銅管配管の腐食は、針の穴くらいの目に見えるか見えないくらいの小さな穴があき、そこから水が吹くような水漏れ症状になります。

また、水道凍結には弱く、凍ったことにより一部が裂けてしまうことがあります。

3つめはポリエチレン配管などの硬質ビニル系の配管。(以降ポリ管と呼ばせていただきます)

↑ 架橋ポリエチレン配管(ポリ管) 耐久性はあるが、水道凍結した場合には厄介な配管

ポリ配管は材質上長年使用しても腐食などはありません。
札幌で使用されている一般住宅の配管の中では圧倒的に長持ちします。

ただ当然デメリットもあります。
・水道凍結したときの修理が大変
・配管の水が抜きにくい
・水圧が下がりやすい などという問題点があります。

ひと昔前では、札幌のような冷え込みやすい寒冷地でポリ配管を使うのはナンセンスだと言われる時期がありました。
金属配管に比べて、水道管が凍ってしまったときに修理するのがあまりにタイヘンだからです。
そのため、当初は床断熱がしっかりしていたり、セントラルヒーティングなどを利用して建物内が冷え込みにくい構造の戸建てやつくりのしっかりしたRCマンションに限られて使用されていました。

ただ、時代の流れもあり、近年では頻繁に水道凍結が起こってもおかしくない構造の賃貸アパートや、古いつくりの一戸建ての配管取替え工事のときにも使用されるようになってきてしまっています。

直管(まっすぐな配管)の金属管とは違い、ポリ管は柔らかくたわみのある配管のため、配管の構造によってはきちんとした手順で水落としをしても部分的に水が残ってしまうことも多く、冬場の水抜きが難しいこともあります。
実際に水道凍結してしまった場合の費用も、金属配管に比べて1.5倍~3倍以上の修理料金がかかることもあります。

今後水道管の取替え工事をおこなう予定がある場合には、このようなメリット・デメリットを踏まえ、ご自身でも選ぶようにしましょう。

トイレの水もれ原因とトイレタンク内の構造

便器の中に常時水が細く流れていたり、水道局の水道料金検針で漏水が指摘されるのは、9割以上がトイレタンクの中に設置されている部品の故障が原因です。

トイレタンクの側面には水道パイプがつながり、それがタンク内にあるボールタップという部品に接続されています。
このボールタップは新しい水をタンク内に供給するための部品で、決まった水位まで水が溜まると内部の弁の構造で自動的に給水をストップさせます。

このボールタップが正常に作動しないと、常時給水されてしまうことがあるため、漏水原因のひとつになります。

次に、タンク下部にあるフロートバルブ(ゴムフロートやフロート弁と呼ぶこともあります)です。
普段はタンク内の水が漏れ出さないように栓の役割をしていて、レバー部とチェーン接続されています。
レバー操作に連動して持ち上がるようになっているため、開栓してタンク内の水を便器へ放出させます。

このフロートはゴムでできた製品のため、ゴムの劣化とともに漏水が起こりやすくなります。
この部分から漏水すると必然的にタンク内の水量が減ってしまうため、先述のボールタップからも水が供給され続けることになります。
(※水漏れしている場合には、その原因箇所がボールタップなのか、フロート部なのか、専門業者でなければ判断しにくいことがあります。)

上記のほかにも、フロートバルブを固定していいる筒状のプラスチック部品(排水弁、オーバーフロー管やサイフォン管などとも呼ばれます)の損傷で水漏れすることもあります。
このような場合にも、水が止まりきらずに便器内へ逃げてしまう現象になってしまいます。

この部品ですが、水漏れ原因を探ろうとご自身でタンクの中をいろいろ触っているうちに、うっかり折ってしまうなどのケースも多いため、十分にお気をつけください。

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